狂ったように急に走り出す……突然ダダダッ!犬走りの謎に迫る

いきなり始まる「犬走り」。いつどこでなぜ走るのか? 本特集ではその謎を解き明かそう。
 

 

犬走りとは?

犬走り
 

犬走りはいろいろな呼び方がある。例えば、犬っ走り(いぬっぱしり)、キレッ走り、バカ走り、カメ走りなど。円形ダッシュと呼んでいる方もいる。いずれの呼び方も、通常とは違う走り方を表したもの。

つまり犬が平常心を失っている状態なのだ。つい笑ってしまうが、理由によっては対処が必要なことも!

愛犬のダッシュが下で紹介している犬走りの特徴と姿勢に当てはまる場合は気をつけよう。
 

【特徴】
・目的がない
・周りを見ていない
・コミュニケーションがとれない
・急に終わる

【姿勢】
・体が丸まっている
・尻が下がる
・尾がほどける(緊張している)
・歩幅が狭い
・ダダダッと早く走る

 

犬走りしやすい犬とは?

犬走り

気持ちを衝動的に表現する手段として、柴犬はよく犬走りする。飼い主さんに向かうのではなく、あらぬ方向に走ることが多い。

プードルやボストン・テリアは飼い主に向かってジャンプすることが多め。犬種によって違うのは、それぞれの性質や、飼い主との距離感が影響しているのだろう。

その他、犬の性格や環境も影響している。

 
■犬種
→実は柴犬が1番?

ほぼすべての犬種が犬走りするが、日本犬に比較的多い。中でも柴犬に目立つ。

後で紹介する「犬走りする理由」に挙げた「葛藤を解消」や「我慢からの解放感」の機会が多いのかも。頭数が多いことも理由だ。

 
■性格
→興奮してキレるタイプ

興奮しやすいタイプの方がキレやすいので、頻度は高くなる。おだやかなタイプは慎重さも備えているので、キレにくく頻度も低め。

怖がりのタイプは動けず固まり、走るなどの行動に移せないことが多い。

 
■年齢・性別
→子犬が圧倒的に多い

犬走りはいずれの犬種、性格でも、子犬の頃に最も多く見られる。元気いっぱいの子供が走り回るように、子犬もダッシュなどで体力を発散すると考えられている。

性別による違いはほぼ見られない。

 
■環境
→走り回れるスペースがある

自由に動けるスペースがあった方が犬走りしやすくなる。

あとで紹介する「犬走りしやすい時」のとおり、サークルから部屋に出した時や、散歩で広い公園に来た時もダッシュが始まるきっかけになる。

 
■飼い主との関係
→ダッシュをけしかけた?

飼い主が犬走りを笑って見ていたり、遊びでけしかけてダッシュさせたりしていれば増える。

オスワリを教えるように、犬走りを教えている状態。犬に緊張を強いることが多ければ、解消のために走りやすい。

 
■学習
→犬走りがごほうびに

犬走りする理由」のとおり、我慢からの解放や葛藤の解消は犬にとってごほうび。

犬走りの結果、ごほうびが得られれば学習して習慣になっていく。飼い主との関係や遊びによって習慣になることもある。

 

犬走りしやすい時とは?

犬走り

走りしやすい時は主に下のようなシチュエーションだ。過剰に興奮したり葛藤したりした時に、スイッチが入りやすい傾向がある。

例えば、飼い主さんとオモチャで遊んでいても、途中で飼い主さんもオモチャもどうでもよくなってしまう。

実は犬同士で遊んでいる時に犬走りはあまり見かけない。意思の疎通がスムーズにでき、キレる前に解消できているのかも。コミュニケーションも鍵か。

 
■におい嗅ぎ後

犬やタヌキのニオイを嗅ぎ、興奮して犬走り。久しぶりに自宅へ帰った時、嗅いでいるうちに盛り上がることも。

 
■お風呂後

犬を家で洗う家庭は増えているが、お風呂が好きな犬はまだまだ少数派。シャンプーの間じっと耐えて、終わってからダダダダーッシュ!

 
■嫌いな犬に会った後

相性が悪い犬に会った時、うなったり吠えたりせず、あらぬ方向へ走り出すことも。好きな犬に向かって突進とは別。

 
■散歩後

散歩で体力が発散できていない時に、帰宅してからキレることも。 逆に散歩が楽しくてその喜びの余韻で興奮し、帰宅後に走り回ることもある。不満か喜びか見極めよう。

 
■学習の結果

いつどこで犬走りして何が起きたか? 犬にとって結果がごほうびになっていると、その条件がそろえば走り出す。

 
■広い場所

広い場所での解放感から気分が良くなりダッシュ。飼い主がけしかけていればその場所でスイッチが入る。

 
■排泄後

ウンチが出て体がすっきり。あるいは排泄への集中から気分がすっきり。心身の解放感から走り回る。子犬に多い。

 

犬走りする理由

犬走り

上で紹介した犬走りしやすい「犬」と「時」から、ダダダダーッシュする理由が何となく見えてきたのでは? 理由は大きく分けて次の4つが考えられるという。

1.過剰な興奮の発散
2.葛藤の解消
3.体力の発散
4.我慢からの解放感

ちょっと難しそうだが、実は人に例えれば「あるある」ばかり。ひとつずつ解説していこう。

1.過剰な興奮の発散

気分が盛り上がりすぎてじっとしていられずダダダッ! 例えるなら、オモチャ売り場で興奮した子供が、走り回っているような状態だ。

 
2.葛藤の解消

複数の欲求や感情が浮かび、どうしようか迷ってイライラしてダダダッ! 例えるなら、悩みを抱えた人が頭をかきむしったり叫んだりするような状態だ。

 
3.体力の発散

運動不足であり余った体力を発散するためにダダダッ! 特に子犬や若い犬に多い。例えるなら、雨天で外に遊びに行くことができない子供が、部屋を走り回っているような状態だ。

 
4.我慢からの解放感

嫌なことや苦手なものをじっと耐え、終わった後に解放感からダダダッ! 例えるなら、残業を終えた会社員が居酒屋をはしごしているような状態だ。

 
人がさまざまな方法で発散や解消をするように、犬も犬走り以外の方法をとることもある。代表的な方法を下に挙げたが、中には「噛む」など心配な行動も見られる。犬がキレて走っているだけなら笑っていられても、尾を噛んでいたら心配になる。実は犬走りも尾を噛む行動も、理由は同じなのだ。

特に柴犬はとっさに噛んだり、尾を追ったりする行動が出やすい犬種。犬走りがふとした拍子に変わってしまう可能性もある。一日に何度も犬走りする場合は、止める工夫をしよう。

【犬走り以外の解消例】
・オモチャを振り回す
・飼い主(身近な人を噛む)
・自分の尾や足を噛む
・自分の尾を負って回る
・人に向かって跳ぶ
・マウンティングする

ダッシュしているだけでも頻度が高すぎれば心配。人に例えれば、毎日大声を上げ、走り回り、頭をかきむしり、居酒屋をはしごするようなもの。うーん、大丈夫じゃないかも。次から犬走りの止め方を紹介しよう。

 

犬走りの止め方

犬走り

犬走りは発散や解消の方法なので、すぐ止めさせることは難しいが、下に挙げた例に当てはまる場合は対処してあげたい。

【止めるべき犬走り】
・日常的に犬走りする
・ときどき人や自分を噛む
・周囲にぶつかりそうなものがある
・足もとが滑りやすく転びやすい

毎日頻繁にダダダダーッシュする場合、理由に合わせて止める工夫を始めたい。走らなければ発散や解消ができない状況は、犬の心身の負担が少々心配。

解放感で走る場合も、我慢する機会を減らすことが大切だ。犬走りの止め方は、今すぐできる方法と、じっくり取り組む方法の2種類がある。

今すぐできる方法は、走り出す瞬間に気持ちを別のことへ向けさせること。愛犬がダッシュする時を調べて、あらかじめ首輪とリードをつけて落ち着くまで待つ、走る前にガムを与える、ごほうびで誘導してオスワリさせる、といった方法がおすすめ。ロケットスタートを切らせないだけで、犬走りはかなり減る。

その他、首輪を素早くつかんでも止めてもよいが、技術が必要だとか。飼い主が後ろからタックルしたり、正面から「どすこい!」と止めたりする方法もあるが、柴犬は拘束を嫌がるうえ、キレている時なのでうっかり噛む可能性も……。

じっくり取り組む方法は、愛犬の興奮、葛藤、我慢の原因を減らすこと。運動不足で走るなら、散歩を増やしたり知育オモチャを取り入れたりしよう。嫌いなシャンプー後に走るなら、シャンプーへの苦手意識を減らすこと。難しい場合は、専門家に相談しながら進めること。

今すぐできる方法とじっくり取り組む方法、並行して行えば効果倍増だ!

犬走り

▼室内での止め方
首輪とリードをつけ、落ち着くまで待つ方法がいちばん簡単。犬が自主的にクールダウンできる。落ち着いたらごほうびにガムやオヤツを与えてもOK。準備していない時にダッシュが始まった場合を考えて、犬がぶつからないように片づけておこう。

 
▼屋外での止め方
室内と同じくリードを短く束ねて持ち、犬の行動範囲を狭くして落ち着くまで待つ。ロングリードや伸縮リードは、持っている人が足を引っかけて転んだり、手をすりむいたりする危険があるのでたぐる時は慎重に。とくにロングリードは、扱いが難しいので十分に注意しよう。

 

犬走りでの事故例

犬走りに関する事故は意外と多い。室内では犬がガラスに激突、ローテーブルをくぐろうとした拍子に頭をぶつけて脳しんとう、など。

人のケガも多く、ダッシュした大型犬がぶつかって転倒したケースもある。

柴犬でも勢いによっては危険なので、止められなかった場合、家族はテーブルやソファの上へ避難した方がいいかも。

屋外では、リードが足に絡まって転倒し、首と腰を痛めた事故がある。犬は冷静な判断ができないキレた状態なので、飼い主の配慮が重要だ

 

成長に合わせて楽しめる別の解消法を教えよう

犬走り

犬走りについて「犬」「時」「理由」「止め方」を考察してきた。謎を解き明かしたが、深刻な問題に発展することは少ないようだ。

平常心を失った状態なので、頻繁なダッシュが良いとはいえないが、事故の危険がなければ時おり走らせてもいい。特に子犬や若い犬は気力体力があり余っているので、どんなに発散させてもダッシュする。

また、頻度が高くなければ、キレたまま走らせても大丈夫なのだろうか?

飼い主だって、大人になったら大声を上げて走り回ったりしない。マナーとルールが許す範囲で、カラオケで熱唱したりスポーツで体を動かしたりして発散するようにする。

愛犬にも成長に合わせて別の方法を教えてあげたいもの。勝手に走り回らせるより、一緒に遊んだりトレーニングしたりしよう。それでもふとした時に犬走りをするかもしれないが、頻度は低くなるだろう。

キレるスイッチをOFFにするより、別の楽しいスイッチへ切り替えを。犬走りを見守りつつ、成長に合わせて他の発散、解消法を教えよう。

 
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監修:長谷川あや甫先生
 
Shi‐Ba vol.87『いきなりスイッチが入って狂ったように走り出す……突然ダダダッ!犬走りの謎』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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